重症熱傷(広範囲熱傷) │ 浜松医科大学医学部附属病院 形成外科

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重症熱傷(広範囲熱傷)

introduction.01導入

 熱傷の原因は、火炎や熱湯以外にも、電流による電撃症や化学薬品による化学損傷、放射性障害など多岐にわたります。いずれも「重症熱傷」となり得ますが、治療機会が最も多いものは火炎や熱湯による「広範囲熱傷」です。「広範囲熱傷」の治療で大切なことは、多くの症例がショック(循環不全)を伴い、いわゆる全身管理が必要になることです。また、重症感染を併発することも多く、その予防と対策が必要になります。このため熱傷治療には、輸液、電解質、栄養、感染、鎮痛・鎮静など幅広い知識が求められます。形成外科の領域で最も生命に関わるのは熱傷ですが、熱傷は良性疾患であるからこそ救命が求められ、知識と技術だけではなく、救命することへの強い信念が必要と私たちは考えています。

introduction.02ポイント

 たとえば、熱傷深度が深い熱傷(多くは炎による熱傷)に対しては、「超早期手術」を導入し、最短で来院から3時間程度で手術室に入室し、デブリードマンを行います。スキンバンクを利用しての「同種皮膚移植」や、J-TEC社の「自家培養表皮移植」、真皮再構築を目的とした「人工真皮」など様々な材料を用いて治療を行います。重症症例ではICUで集中治療部の先生方と協力して管理をしています。

この治療のやりがい

 急性期の全身管理と創傷治療は非常に大変です。その分、救命して患者さんに感謝された時の喜びは大きくなります。主治医として「広範囲熱傷」「重症熱傷」の治療を成し遂げた後は、知識的にも技術的にも医者として大きく成長しているはずです。

執筆 診療助教 松下友樹