外傷
introduction.01導入
外傷には、軽微な切創から骨折・変形を伴う高エネルギー外傷までさまざまな程度がありますが、特に顔面骨骨折を伴う顔面外傷症例は私たち形成外科医が得意とするところです。特に、眼窩ブローアウト骨折では、眼球を支える眼窩底の骨折と周囲軟部組織の障害が起こり、眼球運動が制限されるため、物が二重に見える複視や眼が窪んでしまう眼球陥凹などが起ります。また、上下顎骨骨折では顔貌の変形もさることながら、咀嚼が困難になることもあり、確実な整復固定が求められます。
introduction.02ポイント
骨折部は自然と骨接合が得られるまでズレない様に固定が必要となります。以前はチタンプレートしかありませんでしたが、抜去が必要になることもあります。近年は吸収性プレートが開発され、薄く目立ちにくいという特徴も相まって、徐々に採用例が増えつつあります。また適切な創縁処理や縫合を行うことで、術後瘢痕をかなり目立ちにくくさせることも重要なポイントです。これら顔面外傷では、適切な時期に適切な治療を行わないと、機能的にも整容的にも生活上で非常な不便が生じます。
高エネルギー外傷では、Airway、Breathing、Circulationの評価・維持など、救急診療のABCが重要になることは言うまでも有りません。また、当該箇所以外にも全身合併損傷の可能性があり、各診療科の連携も重要です。これらの知識と経験をもとに、形成外科としてできる治療を確実に行い、整容的にも機能的にも患者さんのQuality of Lifeを改善することができたとき、とても喜ばしく、やりがいを感じます。
執筆 医員 山口智彦